医療を裏側からサポートする職業

医療施設の中でも職種はさまざまある。医師や看護師のように実際に患者に対応していく職業もあるが、裏方でサポートするような仕事も当然ある。そのなかの一つが「臨床工学技士」だ。現在、医療機器は発展を続けており、ペースメーカー、人工心肺装置、人工透析器など複雑な構造をもつ医療機器も医療現場で使用されるようになった。臨床工学技士の仕事は、医師の指示のもとでこれら医療機器を使いこなし、治療の一部を担うことである。また、医療事故を防ぐために、医療機器の日々のメンテナンスも臨床工学技士の役割である。医療と工学の両方の知識が必要であるため、これまで男性の割合が高かったが、現在は女性の臨床工学技士も増えてきている。

臨床工学技士になるには、大学や専門学校など養成校にはいり、厚生労働省が指定する科目を履修する必要がある。また、臨床工学士は国家資格であるため、養成校の卒業時に試験を受け、合格することで臨床工学技士になることができる。主に高校卒業後の進路先として考えられていたが、都市部においては夜間の専門学校もできたため、社会人の転職先としても臨床工学技士が選ばれるようになってきているようだ。

現在、生活習慣病の増加が注目されており、その中でも重度の糖尿病患者は透析を受ける必要がある。臨床工学技士は人工透析器を使用するために必要な人材であることから、人員増加が望まれている職種であり、今後より注目されていく仕事の一つとなるだろう。

これを読んでいる人の中には、「安定した医療の世界で働きたい」と思っている人もいるかもしれない。医療業界といっても、臨床工学技士のような裏方の仕事もたくさんあるため、じっくり吟味してみることが大事だ。まずは、自分がどういった方向から医療に関わりたいかを知るために医療業界の詳しい実情を調べてみた方がいいだろう。